- Report
失敗を批判する(恐れる)のは風土、文化?
2020/06/29まずはじめに:組織風土や組織文化ってなんだろう?
- 組織風土:組織において表面化されている価値観のことをいう。
- 組織文化:これは経営されている組織において、 構成員の間で共有されている行動原理や思考様式。
先日2つの記事を見て気になったこと。
先日、同じタイミングで2つの記事を目にしました。
みなさんにも、ぜひ比較して読んでいただきたいと思います。
この点において、私は、「だから日本はダメなんだ」「海外の優れた例を見習うべきだ」という風には思っていませんので、そこだけは付け加えます。
あくまで、「ある一例」として冷静に受け止めつつ、その背後にある「風土」や「文化」がなぜ生じるのかを考えています。
批判の防波堤となる役割が必要
上記の記事で、厚生労働省が配信を始めた、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)陽性者に濃厚接触した可能性を通知するスマートフォンアプリ「新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)」の開発の議論の中で、「誰かがやらなければいけない問題」に手を上げた人は注目を浴びやすい。注目を浴びると批判を受けやすい。とあります。
この光景を日々目の当たりにすると、社会人はもちろん、子どもたちまで、「誰かがやらなければいけない問題」は、「やります!」って手を挙げない方が得だという意識になるのは無理もありません。
「ミスありき」で社会が回るドイツ
その点で、比較すると、もう一方の中で語られるミスをしてしまい謝罪した際のエピソード。
「それは気にしなくていい。ミスをすることは誰にでもある。それは人間的だ。そこから大事なことを学んでくれたらいいんだよ」(本文引用)
職場や学校、家庭に流れる「ミス」に対する考え方の違いは、何にどのような影響があるのかを改めて考えさせられます。
そりゃ「オープンイノベーション」って進まないはず。
OSS(オープンソースソフトウェア)の考え方は、 企業が要求する利用環境に耐えうる性能や機能、品質を実現を目指し、脆弱性の対策やバグ修正、機能追加・拡張などを常に継続・維持するために、世界中の多くの開発者が参加するコミュニティによって開発されるものです。
そこには、「バグや脆弱性って当然ある」→「見つけたら、気づいた人が修正すれば良い」→「みんなで良いものを作り上げることを目指すのだから、エラーはお互い様だよね」という発想が流れている気がします。
「ミスありき」「バグや脆弱性は、社会変化とともに発生し見つかることもある」という前提でいる組織や社会と、「ミスはしてはいけない」「不測の事態でもミスは許されない」という組織や社会では、どちらがよりチャレンジを生むでしょうか?
随分前から「オープンイノベーション」って声高に叫ばれながら、数多くの研修や仕組みや組織が用意されてきました。しかし、残念なことに、それが機能している例はあまり見ることはありません。
その背景には、こうした「失敗」に対して、不寛容な組織や社会の風土や文化が影響している気がしてなりません。
「ナイストライ!」を奨励できる風土や文化なくして、オープンなイノベーションは生まれないのではと考えています。
先日、同じタイミングで2つの記事を目にしました。 「開発コミュニティー破綻? 接触確認アプリの問題点と批判の在り方で激論」(ITmedia NEWS:2020年06月23日) 「ミスありき」で社会が回るドイツ。サッカーにも繋がる自主性と考え方。 みなさんにも、ぜひ比較して読んでいただきたいと思います。 この点において、私は、「だから日本はダメなんだ」「海外の優れた例を見習うべきだ」という風には思っていませんので、そこだけは付け加えます。 あくまで、「ある一例」として冷静に受け止めつつ、その背後にある「風土」や「文化」がなぜ生じるのかを考えています。