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NFTを社会変革の力に、若きギャラリーオーナーの挑戦
Forbes JAPAN 2021/05/26ロンドンに自身の名を冠したアートギャラリーを所有するアマール・シン(Amar Singh)は、ある目標を目指してキャリアを積んできた。戦後と現代における女性およびLGBTQ+アーティストを支援するという目標だ。
シンは4年ほど前から、NFT(ノンファンジブル・トークン)に静かに投資してきた。そして5月14日、シンは匿名のフェミニスト・アートグループ「Rewind Collective」およびクリスティーズと提携し、11点の原画をオークションに出品した。ヘレン・フランケンサーラー、エレイン・デ・クーニング、グレース・ハーティガン、イヴォンヌ・トーマス、リン・マップ・ドレクスラーといったアーティストによる各作品には、Rewind CollectiveによってNFTが発行される。開始価格はいずれも100ドルだが、落札価格は10万ドルは下らないだろうとシンは予想している。
31歳のシンはNFTについて、「率直に言って、クズ同然のものはいくらでもある」と前置きしつつも、「だが実際に、ハイエンドの部分に注目すると、きわめてパワフルなNFTも存在する。もっとも興味深いのは、重要な理念を擁護するためのレイヤーとしてNFTを利用することで、女性、マイノリティ、LGBTQコミュニティの支援もそのひとつだ」
シンは、Forbesによる2019年の欧州版「30アンダー30」に選出された人物だ。彼は、NFTにはアート界の構造的不平等を解体する力があると考えている。シンは、史上もっとも高額で取引された100作品はすべて男性アーティストによるものだと指摘し、フランケンサーラーやデ・クーニング、ハーティガンといった傑出した女性芸術家たちは、これまでは世界最高峰のオークションハウスで脚光を浴びる機会がなかったと語る。だが、著名人のあいだで女性芸術家の作品をNFT化することへの関心が高まっている今、ブロックチェーン技術がジェンダー平等の促進に役立つのではないかと、彼は考えているのだ。